*前話*
画面のなかには、ここの更衣室のトイレでローターをあそこに入れ込んでいる自分がいた。
え・・・
これって・・・
「桜木さん、
これは何をしていたのでしょうか?」
黒田の声が私の頭の中に響く。
気づくと黒田は私の横でかがみ、一緒に画面を覗き込んでいた。
「こっ、、、、、これは、、、、、」
なぜ?
なぜこんなものが存在する?
なぜ?
目を見開いたまま固まる私。
まさか、、、
「いや〜、たまたま映像見てたら映ったんで、びっくりしましたよ〜」
パッと立ち上がった黒田の声は明るかった。
「桜木さん、」
黒田は何かを話し続けているようだったが、私の耳には届いていなかった。
間違いない。
これは、盗撮。
盗撮だ。
ふーん、盗撮って本当に存在するんだ…
なんて、関心している場合じゃない。
これが防犯用の撮影なのか、
それとも黒田の趣味なのか。
いずれにせよ、私は言い逃れできない。
「あれ?桜木さん、聞いてます?」
「あっ、えっと・・・
・・・
すみませんでした」
私はもう、謝ることしかできなかった。
ガニ股で、ショッキングピンクのローターをうずめている姿がばっちり映っていたのだから。
次第に目頭が熱くなっていく。
瞬きをしたら涙が溢れてきてしまいそうだ。
本当に私は馬鹿だ。
「あ、いえ。桜木さん、」
もう外でオナニーするのは、絶対にやめよう。
最悪。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
もう次は、
「桜木さん
僕のお願い事を守ってくださったら、この事は誰にもお話ししませんし、この動画も誰にもお見せしません」
え?
お願い事?
「お、、、おねがいごと、、、?」
目に力を入れ、涙を堪える。
目の前のテーブルの角に視線を落としたまま、黒田の話に耳を傾けてみる。
「はい。
ではまず、立ってみましょう」
「え?立つ?」
訳が分からず、反射的に黒田のほうを見る。
「そう。立つんです。こうやって」
急に両肩を掴まれ、体を持ち上げられた私。
ぐらりと上半身が前後に揺れながらもどうにか踏ん張ると、文字通り立った状態になっていた。
「はい、そしたら、そこの壁の前へ行ってください」
そこ・・・?
かべ・・・?
人間、パニックになると普段使っている言葉の意味さえも分からなくなる。
恐る恐る黒田の指している方向を見ると、何もない壁が、ただそこにあるだけだった。
「あ、壁… はい…」
そのまま、壁の方へ向かって歩く。
私が、トイレでローターを入れていた話はどこへいったのだろう?
これは何か関係あるのだろうか???
頭が働かないまま言われたとおり壁の前に立つと、くるりと黒田の方に向きを変える。
すでに目の前には黒田の顔があり、私の両手首は掴まれていた。
続く